一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「そういう意味じゃない!」
 
 咳き込みながら、涙目で首を横に振る。
 そんな全力で否定したら赤石さんが可哀想だ。
 
「……俺と離婚してから、誰かと再婚してたり、子供を授かったりしてくれていればいいけど、そうでなかったら救われないなって話」
 
 あぁ。
 だから、赤石さんには親身なんだ。
 
 夫を失い、独り身になった女性だから。
 
 ずっと聞きたかった事が聞けて、ちょっとスッキリした。
 
「奥さんから連絡は、ないの?」
 
「ないな。元々関東の女だったし」

「心配?」
 
「ちょっとは……でも、実際は女の方が立ち直るのが早いのかもしれない」
 
 そう言うと、岡田は冷蔵庫から缶チューハイと日本酒のカップを取り出して見せた。

 私のビールが空いたのを気が付いていたらしい。
 
「あんたの場合もそうだろ、男の方が未練タラタラだった」







 
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