一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「では、ないです」
 
「飲み過ぎたらどうなんの?」
 
「普通に酔って寝ます」
 
「なら、ほどほどにしとけ」

「ほどほどに、ってどうして?」
 
 部屋呑みしようかと誘ってきたのはそっちじゃない。
 
「てっきりザルかと思ったから」

「なんでそう思うの?」
 
「理由はない」
 
「勝手な憶測ですね」
 
 それに。
 二人きりで、酒も飲まずに何するのよ? 雑談? それもアルコールなしじゃ続かないはず。
 
 構わず、ハイピッチでカップを空けてしまうと、ちょっとだけクラクラときた。
 
「そうだ、お前、病院行ったのか?」
 
「あ」
 
  忘れてた。最近、貧血が酷いんだった。
 
「鼻血ブー治すのに血管、焼くんだろ?」
 
「そっち?」
 
 すっかり忘れてたわよ。
 
 
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