一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「明日持って帰ってもいい、どうせ車なんだから」
 
「とか言いながら、一人で飲んでしまう気でしょ? あなたこそザルと見た! 」
 
「俺だって、こんなには飲めない」
 
「やだ、その(つら)で弱いの?」
 
「キャラまで変わってきやがった。その面ってどんな面なんだよ」
 
「冷徹、非情、無慈悲、意地悪………」
 
「ほぼ同じ意味合いじゃねぇか」
 
 そうだね、と笑って冷蔵庫の日本酒のカップに手を伸ばすと、
 
「だからもう止めとけって」
 
 真剣な顔の岡田に遮られる。
 
「だから何で?」
 
「酒のせいにしたくないからだよ」
 
「何を?」
 
「……何って…」
 
 言葉を詰まらせた岡田が、面倒臭そうに髪をかきあげた。
 
 勝った。

 私が日本酒の蓋を取って飲もうとしたら、再び手で遮られる。
 
「こういうこと」
 
 そして。私の肩を掴んでベッドに押し倒してきた。


 



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