一夜だけの恋も、重い愛もいりません。〜添乗員しづの恋
「……誰だ?」
 
 木下さんの動きが止まり、入口に神経を集中させている。
 
 今だ!
 やっと自由になった口で、「開いてます!」と叫ぶと、鍵のかかっていないドアは勢い良く開かれた。
 

「お……」
 
 明らかな男女の営み途中の光景に、岡田は一瞬、好奇な目をしたものの、
 
「くっそ、いいところ邪魔しやがって」
 
 木下さんの下で、必死に首を横に振る私を黙認し、顔つきが険しく変化した。
 
「いいところ、だったのはあんただけじゃない?」
 
 冷たく整った顔から、低くて太い声が放たれる。

「このまま警察に付き出されるか、今から一人で長崎に戻るか、どちらか選べ」
 
  岡田の ″警察 ″という言葉に、木下さんは激しく動揺。
 
「違うっ! 親父のイビキが煩くて眠れないから遊びに来ただけなんだ! そしたら添乗員さんといい感じになって!」
 
  は?!
 
 
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