バタフライ エフェクト
そうやって喜ぶ元寄を、香菜子は冷めた目で見て、小さく舌打ちをした。



「……!? あれ?」
と、次第に元寄が困惑した表情に変わる。



「なんで、なんで戻れないんだよ!? 神様の試練を乗り越えたはずなのに!!」

「……」

「俺の体に戻れるはずなのに!?」



香菜子はため息を吐き、私は空間の床に散らばった梨々愛の髪を見つめた。



「……なんで、なんで!!」
と、元寄は苛立ち始める。



「神様の試練じゃないからだよ」
と、私は口を開いた。



「あなたが勝手にそう思っていただけ。自分の都合の良いように、勝手に思い込んだだけ」

「そんな……!」

「それにもし、それが神様の試練だったとしても、この髪は香菜子の髪じゃない。梨々愛の髪だよ!」

「し、知らない……、梨々愛? 香菜子だろ? 俺には香菜子だけなんだ……。そうだろう? 俺の大切な人は香菜子……」



元寄の半透明の体が、サラサラと砂のように崩れていく。
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