【中編】ベストフレンド

「あの…失礼ですが、あなたはどなたですか」

俺の声は震えていないだろうか。

嫉妬を含んでいる事に気付かれないだろうか。

『僕は彼女の働いているペンションのオーナーで山崎といいます』

「ペンション?」

『はい。Kスキー場近くにあります【Friend】というペンションです』

聞き覚えのある名前だった。

瞬時に先日亜里沙の部屋で見た写真を思い出す。

あのときの旅行で泊まったペンションだ。

「あ…【Friend】って…じゃあ、亜里沙はそこにいるんですか?」

『はい、1ヶ月ほど前に宿泊されてから縁があってうちで働いてもらっています。
何か訳がありそうなのは分かっていたのですが、最近になって僕の妻に事情があって好きな人から逃げてきたと口を滑らせたんですよ。
それで益々心配になって…。
今日偶然彼女の携帯を見つけたので、大変申し訳ないのですが勝手に着信を見てこうして連絡をさせて頂いたんです』

安堵に身体から力が抜けていった。

亜里沙…無事でよかった


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