【中編】ベストフレンド
「この時期に突然退職することになって、みんなに迷惑を掛けて申し訳ないって言ってたからね。
仕事を放り出すみたいで嫌だったんじゃないかな。
一応私が出来ることは引き継いだけど、1階のカウンター業務までは流石に引き継げないものね。心配だったんじゃないかな?」
「まぁ気持ちは解るけど、続けてたら新婚早々家庭崩壊だろうな」
「でしょ? 私が説得しても耳を貸さないし、結局、晃先生と陽歌がお姉さんみたいに慕っている蒼(あおい)さんが、必死で説得して折れたのよ」
「蒼さんって、あの髪の長い女の人だろ?」
「ええ、晃先生のお義姉さんなんですってね。
彼女の双子の妹が…先生の亡くなった奥様なんでしょう?」
結婚式に来ていた腰までの黒髪の綺麗な女性。
彼女を見た時、陽歌の持っていた茜さんの写真と瓜二つだったことにとても驚いた。
俺が黙って頷くと、亜里沙は複雑な表情でためらいがちに続けた。