【中編】ベストフレンド
その日のうちに俺は亜里沙の実家に連絡を取った。
実家では亜里沙の母親が俺を出迎えてくれた。
亜里沙に面差しの似た綺麗な女性だった。
亜里沙は実家にも連絡を入れていないらしく、母親もさすがに、携帯も繋がらず一週間も連絡が無い娘に不安を隠せない様子だった。
亜里沙の母親に学生時代のアルバムや住所録を貸してもらえるように頼むと快く承諾してくれた。
案内された亜里沙の部屋に入るとベッドのサイドテーブルに見たことのある写真が目に付いた。
俺を中心に左右に亜里沙と陽歌の肩を抱いて笑っている懐かしい写真だ。
入社して1年目の冬に同期が集まってスキー旅行に出かけたときのものだ。
その写真を手に取って見つめる。
はにかんだ笑顔を浮かべた亜里沙が、僅かに頬を染めている理由に胸が痛んだ。
亜里沙はこの頃からずっと俺を想い続けていたんだ。
彼女の気持ちを知った今だからこそ解る、その表情に見え隠れする俺への想い。
他の男性社員に肩を抱かれた写真も見たことはあるが、いつだって満面の笑顔でカメラに応えていた。
こうして違う表情を見せるのは俺との写真だけだ。
どうして今まで気付かなかったんだろう。