ピリオド
「心春ちゃん、結婚式でも笑ってなかったな」

結婚式の最中も、披露宴も、二次会も、心春ちゃんの表情は暗かった。結婚式や新婚生活は笑顔で溢れているものだって思ってたのに。

「旅行に行ったら笑ってくれるかな?」

自然と体がパンフレットの方に向く。心春ちゃんはどこに行きたいのかな。王道のハワイかグアムか。それとも国内か。考えていた僕の肩を誰かがチョンと振れる。

「つ〜ばきさん!」

「わっ!き、恭子さん!?」

恭子さんが微笑みながら立っていた。

「暑い中聞き込みですか?お疲れ様です!」

「あ、ありがとうございます」

恭子さんが僕の後ろにあるパンフレットを見る。そして「わぁ!」と目を輝かせた。

「ひょっとして新婚旅行行くんですか?私、ハワイだったんですよ。でもヨーロッパも素敵だったんだろうなって思って〜」

恭子さんがSNSで見たというヨーロッパの美しい景色の話をする。僕の耳からはすぐに抜けてしまうけど。僕が一緒に旅行するのは心春ちゃんだ。恭子さんじゃない。
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