ピリオド
心春ちゃんを刺した犯人の女は、すぐに警備員に取り押さえられた。心春ちゃんを刺したのは、植村さんの妻である恭子さんだった。

血の海の中、心春ちゃんは横たわっている。その目は閉じられていて、まるで眠っているみたいだ。ねぇ、心春ちゃん。目を覚ましてよ。僕を見てよ。

「僕を置いて行かないで……!」

どれだけ願っても心春ちゃんは目覚めない。心春ちゃんの遺体にブルーシートが被せられる。心春ちゃんが隠される。嫌だ。嫌だ。嫌だ。

「ちょっと!!離しなさいよ!!」

「暴れるな!!」

騒ぎ声が聞こえて顔を上げる。手錠をかけられた恭子さんが連行されていくところだった。僕の頭の中が一瞬にして怒りに染まる。僕は立ち上がり、恭子さんの元へと走った。すぐに他の捜査員に掴まれて止められる。でも、口は止められない。

「何で心春ちゃんの命を奪ったんだ!!心春ちゃんを返せ!!」

恭子さんは僕を憎々しげに睨んだ。そして叫ぶように言う。

「あんたが私を見ないからいけないんでしょ!!あんな地味な女のどこがいいのよ!!田舎くさい和食しか作らなくて、おしゃれもしていない、ブランド物も持っていない女なんて、イケメンで公務員のあんたにもったいないのよ!!私が一番ふさわしいわ!!」
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