ピリオド
「……これは、あなたの辿るはずだった運命の一部だ。こうなる未来もあったということだ」

背後から声が聞こえて振り返る。何もない闇に光が集まっていく。その光は一体の動物の姿になった。

「カモノハシ……」

カモのくちばしにカワウソの体、水かきのついた手足が特徴的なカモノハシはジョンさんが一番好きだと言っていた動物だ。

『カモノハシは魅力的な生き物なんだ!哺乳類なのに卵を産む。オスは毒を持っている。くちばしで電気信号を感知できる。紫外線を当てると青緑に光る。こんなに不可思議な生き物はいないんだよ!』

ジョンさんが興奮しながら言った言葉を思い出す。カモノハシが口を開いた。

「あなたはどの運命でやり直したい?」

「やり直す?どういう意味?それにここはどこ?あなたは誰?」

訳がわからない。聞きたいことが多すぎて頭の中が混乱している。でも、私とは逆に目の前のカモノハシは落ち着いた声で答えた。

「ここはあの世とこの世の狭間。そして私は神になり損ねた者」

「神になり損ねた者?」

「この世界には数多くの運命に翻弄される者がいる。その運命の先に待っているのは幸福よりも不幸の方が多い。……本来ならば手を貸してはならない。でも私は貸してしまうのだ。あなたにも。「彼ら」にも」
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