青に溶ける、きみ。
歴史も地理も、公民も、思っていた以上によくできている。
数字を追うたびに、「頭よくない」なんて言葉はどこにも当てはまらない気がしてきた。
「もっと褒めてくれてもいいよ」
そう囁くように付け足した声に、思わず勢いよく顔を上げる。
目が合うと、晴海はいたずらが成功した子どもみたいに口元を緩めていた。
その笑顔は、窓から差し込む夏の日差しよりも眩しくて、見つめているだけで胸の奥がきゅっと締めつけられる。
どうしてこんな一瞬で、心は簡単に揺れてしまうんだろう。
私は慌てて紙を返した。
「じゃあ、夏井のも見せてよ」
さらりと言われて、心臓が跳ねる。
「え、あ……それは……」
順位を見られるのが恥ずかしいわけじゃない。
ただ、この人の前では、できるだけ格好悪い自分を知られたくなくて。
紙を胸元へ抱えるようにして視線を泳がせていると、「冗談だよ」と晴海がくすっと笑った。
その笑い声は風鈴みたいに軽くて、教室を吹き抜ける夏風に溶けていく。
うぅ…またもや、からかわれている。