青に溶ける、きみ。
「……あー。花火大会、行くのかなって思っただけ」
「…………あ、花火大会」
その言葉を聞いた瞬間、胸のどこかが小さく波立った。
きっと晴海は友達と行く。夜空いっぱいに咲く花を見上げて、笑って過ごすんだろう。
「どうだろう……緑と行くかも?」
そんな約束なんて、まだ何もしていない。それでも、そう答えるしかなかった。
晴海は、ふーん、とだけ返して、そのまま窓の外へ目を向ける。
……その「ふーん」は、どういう意味なんだろう。
花火大会がどうしたの。晴海だって、友達と行くんじゃないの。
聞きたいことは、喉のすぐそこまで浮かんできているのに。
「ねぇ、晴海――」
やっと零れかけたその名前は、
「夏休みだからって浮かれるなよー!受験生はほぼ毎日学校だからなー!」
という先生の大きな声に、あっけなくさらわれてしまった。