青に溶ける、きみ。
話したいことって何だろう。
廊下へ出ると、どこのクラスもホームルームを終えたばかりで、賑やかさに包まれていた。
大きなバッグを肩にかけて急ぐ人、友達と笑いながら歩く人、窓から吹き込む風に前髪を揺らす人。
たどり着いたのは、放課後になると誰も使わなくなる空き教室だった。大塚くんは静かに扉を開け、「入って」と目で合図をくれる。
言われるまま足を踏み入れると、誰もいない教室には夏の光だけが差し込んでいて、机の上をやわらかく照らしていた。
もしかして、先生に頼まれた雑用とか、そういう話なのかな。
そんなことをぼんやり考える。
大塚くんとは一年、二年と同じクラスだった。
三年になって初めて別々になったけれど、今でも晴海以外で自然に話せる、たった一人の男友達だった。
ただ、晴海と大塚くんとじゃ気持ちのベクトルが違うのだけれど。
そんな大塚くんが、後ろ手で静かに扉を閉める。
その音だけが教室に小さく響いて、さっきまで廊下にあふれていた笑い声が、急に遠い世界の出来事になった。