青に溶ける、きみ。
ゆっくりと私のほうへ向き直る表情は、いつもの気さくな笑顔とは少し違っていて、胸の奥が理由もなく落ち着かなくなる。
「あの、さ」
「うん?」
「夏井って、好きなやつ、いる?」
その問いが耳に届いた瞬間、心臓がひとつ大きく波打った。
思い浮かんだ横顔は、迷いなく、たった一人。
放課後の廊下を歩く姿も、何気なく名前を呼ぶ声も、さっき手を振って友達の輪へ消えていった背中も、夏の陽炎みたいに胸の奥へ浮かんでは溶けていく。
「……急、だね」
「…夏井は急だと思うかもしれないけど、急じゃねーよ?」
大塚くんは照れ隠しをするみたいに口元へ手をやって、小さく笑う。