青に溶ける、きみ。



少しだけ日に焼けた二の腕が夏をまとっていて、カッターシャツの襟を指先でぱたぱたと揺らしながら、「暑いね」とでも言いたげに笑っている。



「お、おはよう」



返した声は、自分でも驚くくらい頼りなくて、ほんの一瞬だけ重なった視線に胸の奥が小さく揺れる。

そのことを気付かれたくなくて、私はすぐに目を逸らしてしまった。


……今の、感じ悪かったかな。


そんな後悔が遅れて胸の中に落ちてきたころには、大塚くんはもう自分のクラスの下駄箱へ歩いていて、夏の日差しを背中いっぱいに受けながら遠ざかっていく。




教室の扉を開けた瞬間、冷房のひんやりとした空気が火照った体をやさしく包み込んだ。


さっきまで照りつけていた真夏の日差しが嘘みたいで、思わず小さく息をつく。


今日から始まる夏期講習は、3年生である私たちにとってほとんど強制参加みたいなもの。

もちろん欠席したからといって単位がなくなったり、成績に直接関わったりするわけじゃない。

それでも受験生という肩書きは思っているより重たくて、教室には夏休みとは思えないくらい見慣れた顔が揃っていた。


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