青に溶ける、きみ。
自由になった手首を胸の前へ引き寄せる。
そこにはもう何も触れていないはずなのに、晴海の体温だけが残っていた。
さっきまで頭の中は大塚くんのことでいっぱいだったのに、今は違う。
気づけば晴海のことしか考えられなくなっている。
どうして、今そんなに安心したような顔をしたの。どうして、返事をしていないと知って、そんなふうに息をついたの。
私が誰かの隣へ行ってしまうことを、少しでも考えていたの?
ねぇ、晴海。あなたの瞳に映る私は、ただのクラスメイト?
それとも――
その続きを聞く勇気は、まだ私にはなかった。
窓の外では、真っ白な入道雲が青空へ向かってゆっくりと伸びていく。
届きそうで届かない夏の雲みたいに、私たちの間にも、あとほんの少しだけ言葉にならない距離が浮かんでいた。