青に溶ける、きみ。



夏期講習も2週目に入った。

今日から8月。


窓の外では、夏がいよいよ本気を出したみたいに、白く滲む光が校舎を包んでいる。


朝、天気予報を見たときは午後から雨のマークが並んでいた。

そのせいなのか、空気は水を含んで重たく、息を吸うたびに肌へまとわりついてくる。

風は吹いているはずなのに少しも涼しくなくて、教室には扇風機のゆるい音と、遠くで鳴き続ける蝉の声だけが夏を知らせていた。


隣の晴海に気づかれないよう、頬杖をついてそっと視線を向ける。

あちー、と小さくこぼしながら制服の襟元をぱたぱたと揺らす横顔。

その何気ない仕草に、窓から差し込む淡い光がふわりと触れて、まるで炭酸の泡みたいにきらきら弾けた。


今日の晴海の後ろには、青空じゃなく、雨を抱え込んだ灰色の雲が静かに広がっている。

それでも、その景色ごと夏の一場面みたいで、気づけば目が離せなくなっていた。


なんだか今日は、何をするにも気持ちが前へ進まない。

机の中からホームルームで配られた進路調査票を引っぱり出して、紙の端を指先でなぞりながら小さく息を吐く。


< 118 / 221 >

この作品をシェア

pagetop