青に溶ける、きみ。
「まあ、基本室内にいるから別にいいんだけどさー。でも、せっかくの夏休みに雨って、なんかどんよりしちゃうよね」
「そうだね。むしむしするし……」
「そーそー」
緑は笑いながら言ったけれど、私もその気持ちは少し分かった。
夏の雨は、涼しさを連れてくるどころか、空気の中に水分を閉じ込めてしまう。
湿った風が肌にまとわりついて、髪もいつもより言うことを聞いてくれない。
鏡を見なくても分かるくらい、今日は前髪も毛先も思った通りには整っていなかった。
鞄の中にはちゃんと折りたたみ傘が入っている。それでも、帰るという行動さえ億劫に感じてしまうほど、今日の私は重たかった。
「じゃあ、私先帰るから。じゃーね」
「うん、バイバイ」
緑に手を振りながら、私はまた窓の外へ視線を戻した。
雨粒がガラスを伝って、いくつもの細い線を作っている。いつもなら夏の隙間を埋めるように響いている蝉の声も、今日は聞こえない。
雨音に隠れてしまったのか、それともさすがの蝉もこの空模様には敵わないのか。