青に溶ける、きみ。



「まあ、基本室内にいるから別にいいんだけどさー。でも、せっかくの夏休みに雨って、なんかどんよりしちゃうよね」

「そうだね。むしむしするし……」

「そーそー」



緑は笑いながら言ったけれど、私もその気持ちは少し分かった。

夏の雨は、涼しさを連れてくるどころか、空気の中に水分を閉じ込めてしまう。

湿った風が肌にまとわりついて、髪もいつもより言うことを聞いてくれない。

鏡を見なくても分かるくらい、今日は前髪も毛先も思った通りには整っていなかった。


鞄の中にはちゃんと折りたたみ傘が入っている。それでも、帰るという行動さえ億劫に感じてしまうほど、今日の私は重たかった。



「じゃあ、私先帰るから。じゃーね」

「うん、バイバイ」



緑に手を振りながら、私はまた窓の外へ視線を戻した。

雨粒がガラスを伝って、いくつもの細い線を作っている。いつもなら夏の隙間を埋めるように響いている蝉の声も、今日は聞こえない。


雨音に隠れてしまったのか、それともさすがの蝉もこの空模様には敵わないのか。


< 121 / 221 >

この作品をシェア

pagetop