青に溶ける、きみ。

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「起立、礼――」



日直の気だるそうな声が教室に落ちて、そのまま今日のホームルームが終わる。

途端に、静かだった空気が一気に崩れた。ガタガタと机が動く音。椅子を引く音。友達同士で交わされる「またね」の声。

窓の外では、夕方前の強い陽射しが校舎を白く照らしていて、夏特有の熱気が廊下から流れ込んでくる。なのに、その全部がどこか遠く感じた。


耳の奥で響いているのは、自分の心臓の音ばかりだった。

ドク、ドク、ドク。

放課後だ。とうとう来てしまった。

今日の昼休み。晴海と約束した。“ふたりで”勉強する放課後。


席に座ったまま、私はしばらく動けなかった。ペンケースを持つふりをしながら、隣をそっと見る。

すると、ぱちり、と視線がぶつかった。

あ、と思った瞬間には、もう反射みたいに目を逸らしてしまっていた。

しまった。絶対感じ悪かった。違う、違うのに。ただびっくりしただけ。急に目が合ったから、心臓が耐えられなかっただけなのに。


……でも今さら「ごめんね」みたいな顔するのも変? 

いや、それこそ意識してるって言ってるようなものでは? 

どうしよう。


脳内が一瞬で騒がしくなる。表面上だけは平静を装って、意味もなくノートを鞄にしまい直していると、隣で椅子が引かれる音がした。



「夏井、どこでする?」



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