青に溶ける、きみ。
教室を出るまでのほんの短い間にも、「じゃーな」「また明日ー」「晴海テストやばいらしいじゃん」なんて、あちこちから声をかけられている。
そのたびに晴海は軽く手を上げたり、笑って返事をしたりしていて、全部が自然だった。
きっと誰も思わない。
そんな晴海が、今から私とふたりきりで勉強するなんて。
少しだけ距離を空けて歩いた。隣に並ぶには、まだ心臓がうるさすぎる。
「夏井さんも、じゃーな」
不意に名前を呼ばれて、びくりとする。晴海の近くにいたせいで、男子のグループのひとりがついでみたいに手を振っていた。
「あ、うん、バイバイ……」
変なタイミングで返してしまった気がする。声も少し裏返った。絶対変だった。
うわ、気持ち悪い挨拶したかもしれない。恥ずかしい。顔が熱い。
だけど前を歩く晴海は、そんな私に気づいているのかいないのか、ただ少しだけ肩を揺らして笑った気がした。