青に溶ける、きみ。



廊下へ出た瞬間、むわっとした熱気と人の声に包まれた。

テスト期間だから部活もなくて、校舎の中はいつもよりずっと人が多い。


友達同士で問題集を見せ合っている人。ロッカーの前に座り込んで、教科書を何冊も抱えている人。どこの空き教室が使えるか相談しているグループ。


夏休み前独特の浮ついた空気と、テスト前の焦りが混ざって、廊下全体がざわざわしていた。冷房の効いた空気の中に、外から入り込んでくる夏の熱が混じっている。


その中で、少し前を歩く晴海の背中だけがやけにはっきり目に入った。


そんなとき、ロッカー前にしゃがみ込んでいる見慣れた後ろ姿を見つける。

緑だ。

教科書を抱えながら、器用にロッカーの奥を漁っている。



「晴海、ちょっと緑のとこ行ってきていい?」


晴海は振り返って、「ん、オッケー」と軽く答える。



「緑!」



声をかけると、緑は「あ」と顔を上げる。



「おー、テスト勉強一緒にする?」

「えっと、それがね……」



私はちらりと後ろを振り返る。

少し離れたところで待っている晴海は、スマホを見ながら壁にもたれていた。窓から差し込む西日が横顔を照らしていて、妙に絵になる。


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