青に溶ける、きみ。
「主人公の気持ちを考えよ、とか、ああいう問題、よく分かんないんだよね」
窓の外では蝉が途切れることなく鳴いていて、その声をさらうように少し開いた窓から流れた風がカーテンを揺らした。
机の上に落ちる木漏れ日まで、ゆっくり呼吸をしているみたいだった。
「あー、あれ」
晴海は苦笑いを浮かべながら頷く。
「答えって、本当に筆者に聞いたものなの?勝手に決めつけていいの?って思っちゃう」
別に、それは現代文だけの話じゃない。
人の気持ちなんて、ひとつの文章に閉じ込められるほど単純じゃないから。
本当に知りたいものは、主人公の心なんかじゃない。
目の前で静かに笑っている、この人の胸の奥だった。