青に溶ける、きみ。
「もしかしたら……エリスと別れたくなかったけど、どうしようもなくて、自分に言い聞かせていただけかもしれない。周りの人とか、時代とか、そういうものに背中を押されてしまったのかもしれないし」
ノートの端に赤ペンで書かれた字を、指先でそっとなぞる。
──『証拠を集めて、一番説得力のある解釈を作る。』
その文字は正しいはずなのに、どこか少しだけ寂しく見えた。
「答えは作者が決めたものかもしれないけどさ」
晴海がぽつりと呟く。
窓から吹き込んだ風がページを揺らし、紙の匂いと夏の青い匂いが混ざり合う。
「現実の人間の気持ちに、模範解答なんてないよな」
胸の奥が、小さく震えた。
その一言が、問題集のどの答えよりも真っ直ぐ心へ届いてしまう。
「……俺は、分からないままでいたくないかも」
その言葉に顔を上げると、晴海はどこか遠くを見るような、それでいてすぐ隣にいる私を映しているような、不思議な瞳をしていた。