青に溶ける、きみ。
「……私、決めつけるの嫌だから聞いたのに」
拗ねたようにそう返すと、晴海は一瞬きょとんとして、それから堪えきれなくなったように肩を揺らした。
「はは、ごめん」
小さく漏れた笑い声が、静かな図書室の空気へ溶けていく。
「そうだった。今そんな話したばっかだった」
声を潜めながら笑う晴海につられて、私まで少しだけ頬が緩んでしまう。
図書室の一番奥。本棚に囲まれた四人掛けの机は、小さな秘密基地みたいだった。
誰の視線も届かないその場所へ、窓から吹き込む夏風だけが迷い込んでくる。
ページを一枚めくり、カーテンを揺らし、私たちの間をそっと通り抜けていく。
ああ、もう。ずるい。
そんなふうに無防備に笑わないで。
子どもみたいに目を細めて、何の飾りもなく笑うその横顔を見せられるたび、胸の奥がいっぱいになって、言葉の置き場所が分からなくなる。