青に溶ける、きみ。
その笑顔ひとつで、青空はもっと高く見えてしまうし、蝉の声は遠く霞んでしまうし、さっきまで開いていた参考書なんてどうでもよく思えてしまう。
夏という季節が眩しいんじゃない。その人が笑うから、世界まで光を帯びて見えてしまうだけなのだと、そんなことを知ってしまった。
だから困る。
何も知らないような顔で笑う晴海を見つめながら、私だけが胸いっぱいに抱えたこの気持ちには、現代文の問題みたいな模範解答も、数学みたいに導き出せる公式も、どこにも見つからなかった。
だからこそ、この時間だけは大切に抱きしめていたいと思ってしまう。
「どうする?」
晴海が小さく笑う。
机の上に差し込む午後の日差しが、その横顔の輪郭をやわらかく縁取っていた。
「聞きたい?」
「……何を?」
「なんで今日、夏井を誘ったのか」
その一言だけで、胸の奥が熱を持つ。