青に溶ける、きみ。
胸の鼓動は痛いくらい速くて、自分の心臓じゃないみたいだった。
遊ばれてるのかな、とも思う。からかわれてるだけなのかな、とも思う。
でも、それならどうしてそんな目をするんだろう。そんな優しくて、少しだけ切なそうな目で。
「……ま、また今度」
結局、逃げるようにそう言うしかなかった。
晴海はほんの少しだけ目を伏せ、それから困ったように笑う。
「……そ」
短い返事のあと、残念、と小さく呟いて、何事もなかったみたいに数学の問題集へ視線を落とした。
シャープペンが紙を走る音だけが、静かな図書室へ戻ってくる。
……私の、ばか。弱虫。意気地なし。
本当は聞きたかったくせに。本当は知りたかったくせに。
「夏井なら面倒くさがらずに教えてくれそうだから」とか。「友達の中で一番頭いいから」とか。そんな何でもない理由なら、きっと笑って受け止められたのに。
なのに私は、それ以上の言葉をどこかで待ってしまった。
「一緒にいたかったから」そんな、夏の蜃気楼みたいな理由を。
あるはずもない、と自分で笑ってしまうような言葉を。