青に溶ける、きみ。



だから怖かった。返ってこなかったとき、自分の中の何かが静かに壊れてしまう気がしたから。


期待なんてしなければ傷つかないと分かっているのに、人はどうして、手を伸ばいてしまうんだろう。



さっきまで私は、「決めつけるのは嫌だ」と言っていた。

それなのに、一番決めつけていたのは私だったのかもしれない。



聞けばよかった。ただひと言、「聞きたい」と言えたなら、この夏は少し違う景色を見せてくれたのだろうか。



窓の向こうでは、入道雲がゆっくり形を変えていく。

同じ空は二度とないように、言えなかった言葉も、きっとその瞬間にしか存在しなかった。



物語の主人公たちを、「どうして言わないの」「どうしてすれ違うの」と思いながら読んできた。



でも今なら分かる。

人は、大切だからこそ言えないことがある。

失いたくないからこそ、手を伸ばせなくなることがある。



あの教科書の主人公たちも、きっと特別じゃなかった。


ただ目の前のたった一人を前にして、答えのない気持ちを抱えた、ごく普通の人だったのだ。



そして今、そのページの続きを生きているのは、きっと私だった。


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