青に溶ける、きみ。
「ねえ、夏井。夏休みさ――」
晴海が何かを言いかけた、その瞬間だった。
続きの言葉をさらうように、ガラッ、と教室の扉が勢いよく開く。
みんなの視線が一斉にそっちへ向いた。
「じゃー、夏休み前、最後のホームルーム始めるぞー。ついでに、この前のテストの結果も返すからなー」
先生のひと言に、浮かれていた教室の空気が一気に色を変える。
「えー、マジ?」
「最悪なんだけど」
「俺、見たくない!」
あちこちから悲鳴みたいな笑い声が上がって、さっきまで夏休み一色だった教室は、今度は点数の話でざわつき始めた。
この前のテスト。答案用紙はもう返ってきていたけれど、順位や平均が載った個票はまだだった。
「そういや、晴海」
その喧騒に紛れるくらいの小さな声で呼んでみる。
「せんせー!俺、そんなのいらなーい!」
「俺もー!」
「お前ら、受験生の自覚あんのかー?」
先生の呆れた声に、また教室中が笑いに包まれる。
こんなに騒がしいなら、小声じゃなくてもよかったのかもしれない。