ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
 弁護士が今回のトラブルの内容を整理して話す間、紀香はぶすくれていた。そうして、間違いありませんね、との確認にも黙り込んでいる。
「認めないなら訴訟だな」
 史弥が脅すと、紀香は鼻に皺を寄せて彼をにらんだ。

「わかったわよ」
「認めるんだな」
「そうね」
 ふてぶてしい態度に耀理はあきれた。史弥は今にもつかみかかりそうだが、弁護士はトラブルに慣れているのか無表情だ。

「だったら謝罪しろ」
「すみませんでした~」
 軽い口調に、耀理は顔をしかめ、史弥は怒りをたぎらせる。

「お前、自分がどれほどのことをやったのかわかっているのか!」
「ちょっと出来心のいたずらで~。私と耀理の仲なら冗談ってわかってくれると思って~」
 どれだけ舐められているのか、と耀理はくらくらした。

「謝罪もまともにできないなら、それこそ訴えてやるぞ」
「謝罪したら裁判にしないって言ってたじゃない!」
 民事であれ裁判になったら、どれだけの時間を費やすことになるのだろう。そのたびに神経を逆なでする発言を聞かされるのだろうか。そんなことに大事な時間を使いたくない。早く縁を切って終わりにしたい。

「月嶺さん、もういいです。もう二度と私に関わらないでいてくれるなら」
「……あなたがそう言うなら」
 うなるように史弥が引きさがり、弁護士は書類を出した。
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