ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「和解のための条件が掛かれています」
弁護士は内容を示しながら読み上げていく。
 二度と耀理に近付かないこと、連絡をとらないこと、名誉を棄損する噂を流さないこと、などなど。それらを破ったら今回の件も含めて民事と刑事で訴えることが書かれている。

 その中のひとつに、紀香は声を上げた。
「慰謝料!? そんなの言ってなかったじゃない!」

「謝る気があるなら用意するのが普通だろうが。言っておくが期日を破ったら即日で訴えるからな」
「謝ってるのに! 物を壊したり誰かをケガさせたとかじゃないのよ!? アカウントなんてゼロ円じゃない!」
「彼女の積み重ねを……今までの努力をぜんぶ破壊したくせに」
 ぎろり、と彼ににらまれて紀香はひっと身を竦める。

「で、でも、百万なんて……」
「これは譲れないから。私だって怒るときは怒るよ」
 耀理はきっぱりと言い、紀香が耀理をにらむ。

「耀理のくせに……底辺のくせに……」
 紀香は唇をかみしめて耀理を憎悪のこもった目で見る。
 思わずひるんだ耀理の肩を、がっしりと史弥が抱く。
 彼を見ると力強くうなずくまなざしがあり、耀理は気をとりなおして紀香を見る。

「じゃあ訴訟する? 内容証明を職場に送ろうか?」
 耀理が言うと、紀香は哀れそうな目を弁護士に送った。
「百万なんて、無理です」
 同情を買うような声音だが、弁護士は眉一つ動かさない。

「いくらなら払えるの?」
 耀理が聞くと、紀香は目をそらした。
「一万くらい……」
 耀理はあきれ、史弥はさらに怒りに沸騰した。
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