ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「俺の作品のデータを勝手に公開しただろ。あれ、訴えるから」
「はあ!? もう謝って書類にもサインしたじゃない!」
「それは彼女の名誉棄損の分。俺に関してはなにも書かれていない」
 紀香は慌てて書類に目を走らせる。

「代理人は私が担当します」
 弁護士が言い、紀香は書類をぐしゃっと握りしめた。

「話が違うわ。こんな詐欺みたいなこと、弁護士がしていいわけ?」
「まったくもって詐欺ではありません」
 無表情な弁護士に、紀香は眉を吊り上げる。

「私も弁護士を雇うわよ!」
「どうぞご自由に。当然の権利ですので」
 涼しい顔で言われて、紀香はさらにぎゅっと書類を握りしめる。
「もしかして、それ脅しになると思った?」
 史弥に見下ろして挑発され、紀香はぎいい、と歯を噛み締める。

「話し合いはもう終わりだ。次は法廷で会おう」
「絶対に負けないから! 慎一に言って週刊誌に書いてもらう」

「だからそんな力はあいつにないって。自分でも言ってたし、そもそも別れたんだろ? できねーよ」
「できるわよ!」

「私の前でよくそんなことを言えますね」
 弁護士の言葉に、紀香の顔から血の気がひいた。
 彼女は逃げるように走って出ていき、残された耀理は大きくため息をついた。

「ありがとう、月嶺さん。だけど最後にあんな爆弾を落とすなんて思ってなかった」
 彼が紀香を訴えると言うなんて、思いもしなかった。
「言っただろ、反撃するって。あいつは思うように踊ってくれたよ」」
 相変わらず腹黒い、と耀理はあっけにとられた。
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