ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
 相変わらず腹黒い、と耀理はあっけにとられた。
「教えてくれなかったのは、私が止めると思ったの?」
「あなたは優しすぎるから」
 頭をそっと撫でられて、耀理はうつむく。複雑な思いが胸にわいて、なにも言葉を返せない。
 ぴぴっとアラームが鳴り、史弥がスマホを取り出した。アラームを止めると、耀理に言う。
「次の予定の時間だ。一緒に行こうか」
「どこへ」
「いいところ。その前に準備しなくちゃな」
 笑顔でそう言って、史弥は弁護士に頭を下げる。
「今日はありがとうございました。今後もお願いします」
「任せてください」
 礼を返した弁護士が出ていくと、入れ違いのように女性がふたり、入って来た。
「あとはよろしくお願いします。耀理、俺は一時間で戻るから」
「どういうこと!?」
「またあとで」
 史弥は手をひらひらと振って出て行ってしまう。
「お衣裳をお持ちしましたのでお着替えを」
 女性に引き留められ、耀理は戸惑った。
 見知らぬ人相手に抵抗することもできず、言われるままに着替え、メイクをされ、髪を整えられた。
 夜空のような藍色のワンピース。やわらかく揺れるシフォンに星のようにラインストーンが散りばめられている。靴はネイビーのハイヒールで、ヒールの一か所にポイントでストーンが嵌められている。
 髪には白いカスミソウとパールを散らして銀河のようだ。イヤリングは流星のようにきらめくダイヤモンド。
 しばらくして帰って来た史弥は、彼もまた式典に出席するかのような紺色のスーツ姿だった。
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