ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「だけど、私のためにそんなこと……」
「本に囲まれて祝福されたいのは俺の気持ちでもあるよ。俺の夢をかなえさせて」
 そう言われると、もう耀理に反論する余地はない。

「うん……ありがとう」
 耀理が頷くと、史弥は嬉しそうに目を細めた。
「ずっとずっとあなたに焦がれてた。こうして一緒にいられるのが奇跡みたいだ」
 ささやきが耳をくすぐり、体の芯が熱くなってたまらない。

「ちょっと待って、あなたはこういうこと慣れてて平気かもしれないけど! 私はぜんぜん慣れてないから……!」
「俺だって慣れてないよ」
 彼はいったん体を離して耀理を見つめる。
 疑いの目を向けた耀理は、降ってくる粉砂糖より甘い眼差しにどきっとして目をそらす。

「ずっと好きだった人と一緒にいられて、緊張しないわけがないよ」
「そ、そう、なの……?」
 彼の瞳にとらわれたように、もはや目を離せない。まっすぐに見つめる彼の手が彼女の頬に添えられる。その手は優しくて温かくて、頬から伝わったその熱で全身がとろけていきそうだ。

「キス、してもいいか?」
「……そういうのって、聞くものなの?」
「あなたの嫌がることは絶対にしたくないからね」
 彼の答えに、耀理はまたもじもじした。

「恥ずかしい? なら、OKのときは目を閉じて」
 耀理は少し迷い、それから目を閉じて彼の方へ顔を向けた。
 これだけでも恥ずかしくて恥ずかしくて、顔から火が出そうだ。
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