ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「それから別名義……月見猫千夜の名前で恋愛小説のコンテストに応募しまくった。ペンネームに猫を入れたのは、あなたが猫が好きそうだったから。月見猫にしたのは、月嶺と途中まで響きが同じだし、おもしろいかと思って。千夜は、なんとなく響きで」
 確かにあのとき、猫のマスコットキャラクターを彼に見せた気がする。

「溺愛小説を書けば再会できると信じて、ずっとあなたの気に入るように作品を書き続けてきた。つまり俺の作品はすべてあなたへのラブレター」
 売り言葉への買い言葉で純文学から鞍替えして恋愛小説家になるなんて。しかもあの小説から推測して自分の好みをばっちり把握されているのが怖い。しかも、それをラブレターと言われるなんて。

「重い……重すぎる……!」
 耀理はあっけにとられた。が、彼は構わず続ける。
「こうしてエンド什器で華々しく展開してくれたのは、気持ちが届いた証拠だな。認知度が上がるまでサイン会を我慢して来た甲斐があった」
「違う、絶対に違う!」
 耀理は思わず叫んだ。

 ふと視線に気付いてそちらを見ると、美帆を始めとした仕事仲間のパートのおばさま方が、にまにましながらこちらを見ている。
「若いわねえ」
「ラブラブねえ」
「違うんですうう!」
 耀理の叫びはフロア中に響き渡り、お客さんをびくっと震わせた。
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