ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
3 元カレと元親友
慎一を見た耀理は硬直した。
営業に来たにしては時間が遅い。もう七時を過ぎている。
今日もいつも通りにスーツを着ていて、ぱりっとしている。スーツだと二割増しに見えるんだよね、と耀理は頭の隅で思った。
「店長ならあちらの奥の棚で作業してますよ」
声が冷たくも温かくもならないように気を付けて言う。もとから他人だったかのように。
「君に会いに来たんだ」
やはり、と思うが、心は冷えていくばかりだ。
「私はなにも用はありませんから。紀香とお幸せに」
言い切る耀理の腕を慎一がつかむ。
「君は誤解してる。話の途中で帰ったし。紀香はなにも悪くないんだよ。彼女は君に嫌われたって傷付いてる」
耀理はぎゅっと眉根を寄せた。自分のほうがもっと傷付いている。ふたりに捨てられたのは自分なのだ。だが、それを言えば彼はもっと紀香を擁護するだろう。
「離してください。お店でこんな話」
「だったら外で話そう」
「嫌です。もう終わったことです」
慎一の腕を振り払おうとするが、彼は離してくれない。怒りに彼をにらんだとき。
「離せよ」
「いてえ!」
慎一の腕を史弥がねじりあげ、慎一が声を上げた。
「耀理、もしかして元カレ?」
不機嫌そうな史弥が耀理と慎一の間に割って入る。