ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「お前誰だよ」
 威嚇する慎一に、史弥はにやりと笑う。

「彼女の夫だ」
「はあ!」
「またそんなことを」
 耀理は頭を抱えた。

「俺と別れてまだ一週間だろ!」
「あなたなんて別れる前から紀香と付き合ってたくせに」
 ツッコミを入れられた慎一は言葉に詰まって耀理をじとっと見る。

「許しがたい」
 ぎろりとにらむ史弥に、慎一は恐れおののいた様子で彼の腕を振り払う。
「そ、それでも結婚なんて。お前も二股してたのか!?」
 うろたえる慎一に軽蔑のまなざしを向け、耀理は史弥の腕に自分の腕をからめた。

「一緒にしないで。私、彼からプロポーズされたの。行きましょうか」
 にこっと笑って史弥を見ると、彼はぱあっと顔を輝かせた。
「絶対に幸せにするから」
 絶望を顔にはりつけた慎一を残し、勝ち誇った笑顔の史弥とともに従業員通路に向かう。
 従業員通路への扉をくぐった直後、耀理はぱっと腕を離した。

「ごめん、ありがとう」
 話を合わせてくれた史弥に礼を言うと、史弥がどん! と壁に両腕をついて耀理の左右を塞ぐ。
 顔をひきつらせて彼を見ると、陰を帯びた顔の中で目だけがぎろりと光る。

「で、どういうこと?」
「なんでもないよ」
 視線を宙に泳がせるが、史弥は手をどかさず、じーっと耀理を見つめる。
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