ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「学生時代、好きな人がいるって教えると、しばらくしてその人は彼女のこと好きになってた。『あなたが好きって言ってた人に告白されたの、ごめん』って親友に謝られて初めて知るの。人の気持ちって操れるものじゃないんだから、たまたまだと思ってた。紀香はかわいくて高校時代も持てたし、男性なら誰だって彼女を好きになって当然だって思ってたの」
 耀理の話に、史弥は渋い顔をして聞いている。

「社会人になってしばらくしたころ、初めて恋人ができた。嬉しくて彼女に紹介したらすぐに『彼女のことを好きになったから別れてくれ』って言われたの。ショックだった。彼女は『親友だってわかってるのに告られた、信じられない!』って怒ってたから、これもたまたまなんだと思ってた」
 史弥の眉間の皺が深くなるのを見ながら、耀理はサワーをまたひと口飲んだ。

「彼女はいつも私のこと心配してくれて。『本ばっかり読んでるからダメなんだよ』って遊びにつれていってくれたり、買い物につきあってくれたり、私をきらきらした世界に引っ張り出してくれた恩人だったの」
「恩人?」
 納得していなさそうな彼に、耀理は続ける。

「うん。本と紀香が恩人。本は人じゃないけど。私、高校入学で中学からの友達と離れちゃった上にクラスで友達を作るのに失敗して浮いてたの。それで本をたくさん読むようになったんだ」
 すぐに多彩な本の世界にはまった。文字で描かれるストーリーはいつも耀理を未知の世界に連れて行ってくれる。知的なミステリー、大冒険の描かれたファンタジー、SFに恋愛……どれも楽しかった。

 そして二年生のとき、紀香に出会った。
隣の席になった彼女はかわいくて明るくてクラスのカーストトップで、まさか仲良くなるとは思わなかった。彼女の社交性のおかげもあってすぐに打ち解けて、耀理にとってはすぐに大親友と呼べる存在になった。
 自分は教室の隅で縮こまっている底辺だと思っていたから、彼女と友達になれてすごく嬉しかった。
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