ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
 いつも輝くような笑顔の彼女が憧れで、男性が彼女を好きになるのは当然のことだと思った。実際、彼女はいつもモテていて、男性からちやほやされまくってきた。
 地味な彼女の自分は引き立て役なのかと思うときもあったが、「私の一番の親友は耀理だから!」という言葉が嬉しくて、そんなネガティブになる自分がダメなのだと思っていた。

「かわいくなる努力をしないなんて女として怠慢だ、って髪をワンデイカラーで変えてくれたり、コテで巻いてかわいくしてくれたり、似合う服を選んでくれたり。そんなことのできる彼女がすごいと思ったし、憧れた。今の自分があるのは彼女のおかげなの」
「性格悪いな、そいつ。さりげなく耀理の自己肯定感を低くしてる」

「そんなこと……」
 ない、とは言い切れなかった。アドバイスとセットだったから気付かなかったが、「本ばかり読んでるからダメだ」とか「かわいくなる努力をしないなんて女として怠慢だ」とか、確かに否定ばかりだ。彼の指摘が胸に痛い。

「それからは長いこと彼氏ができなくて。恋が怖くなってたと思う。また好きになった人が紀香を好きになるかもと思うと憂鬱で。恋愛小説で満たされたからっていうのもあるけど」
 小説で描かれる男性は理想的で、そんな人物が現実にはいないのだとわかっているから、現実の男性への興味が薄れたのかもしれない。

「今回はつきあって二ヵ月くらいしてから紹介したの。会ったときから紀香たちは意気投合して、私そっちのけで話が盛り上がって。寂しかったけど、親友と彼氏が仲良くなるのはいいことだと思ってた」
「のけものにする時点でおかしいだろ」

「そっか、そうだよね……」
 耀理は俯いた。テーブルにあるサワーのコップについた水滴が、涙のように垂れている。

「今から思うとおかしいのはほかにもあって。『大手出版社の営業なんて、遊ばれてない?』とか『彼の年収ってどれくらい?』とか聞かれた。営業のわりにダサいとか悪口も言われた。過去にも好きになった人を悪く言われて嫌な気分になったことがあった」
「それでも親友だったんだ?」
 ビールをぐいっと飲む彼につられ、耀理もまたサワーを飲む。
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