ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
 そこに待ち受けていたのは、彼と紀香。
 ふたりでいるだけならまだしも、仲が良さそうに並んで座っている。普通は恋人である自分が慎一の隣に座り、紀香が正面に座るのではないだろうか。
「紀香も来てたんだね」
 仕方なく彼らの正面に座った直後。

「ごめん、耀理」
 泣きそうな紀香が顔を伏せ、その肩を慎一が抱く。

「俺たち結婚を前提に付き合うことになったから、別れてほしい」
「はあ!?」
 耀理は思わず声を上げていた。

「好きになっちゃいけないと思ったんだけど、気持ちが押さえられなくて。そしたら慎一さんも同じ気持ちでいてくれて」
 突然のことに混乱した。だが、どこかで納得する自分もいた。
 いつものことだ。地味な自分より華やかな彼女が好かれるのは当然だ。

 だけど疑問もわいてくる。
 自分が好きになった人たちは、どうして彼女を選ぶのだろう。どうして自分は選ばれないのだろう。
 そうして、最後は親友すらも自分ではなく恋を選んだ。

 同時に、激しい悲しみと憤りが襲ってきた。
 紀香が「終電がなくなったから迎えに来て」と言えば翌日が仕事でも車で駆け付けたし、彼女が仕事で嫌な目に遭ったときには、寝不足になろうとも愚痴の電話につきあった。
 親友だと思うから、彼女を支えたかった。彼女が喜んでくれるのは自分の喜びでもあった。

 彼女はそうではなかったのだろうか。親友のために気持ちを抑えようという気持ちにはならなかったのだろうか。
 自分は誰からも選ばれないんだ。
 そう悟り、耀理はあきらめの境地に至った。
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