ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「……わかった。今までありがとう」
 耀理は精一杯の笑みを浮かべた。

 どう考えても、女性としては紀香のほうが上だ。
 男性が紀香を好きになるのは当然のことで、だったらふたりには幸せになってほしい。
 そう願いながら個室を出ていく。

「耀理、待って! 慎一さん、待ってて、ちょっと話してくるから」
 紀香の声が追い掛けて来て、居酒屋を出た路上で彼女に腕を掴まれた。
「話は終わってないよ」

 耀理はうつむいた。
 早く家に帰りたかった。帰って、泣きたかった。だけど彼女の前では泣きたくない。幸せになってほしいから。
 なのに。

「なんで泣かないのよ」
 棘のある声に、耳を疑った。
 顔を上げると、怒りに目を吊り上げた紀香がいる。

「あんた、昔っからそうよね。感じ悪い!」
「どういうこと……?」

「気付いてないの? 私、あんたが大っ嫌い」
「え?」
 目を丸くする耀理に、紀香の口元が歪んだ。笑ったのだ、と気が付くまでに数秒がかかった。

「その顔、おかしい! ブスなあんたにぴったり!」
 ゲラゲラ笑う紀香に、足の力が抜けてビルの壁に手をついた。
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