ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「高校のとき、ちょっと話しかけてやったら嬉しそうにしてさ。面白いからグループに入れてやったら喜んでしっぽふってきて面白かったわ」
 なにかを言わないといけない。そう思うのになにも言葉が浮かばないし、喉がひりついて声が出そうにない。

「あんた、昔から私のこと内心でバカにしてたでしょ。知ってるのよ」
「どういうこと?」
 思わず聞き返していた。そんなの思ったこともない。

「成績の悪い私のことバカにして、わざと難しい言葉で話したりしてたよね。すっごい嫌だった!」
 確かに「普通はそんな言葉は使わないよ」と何度か言われた記憶がある。読書のおかげで言葉を知っているせいであって、彼女は自分が浮かないように普通を教えてくれているのだと感謝していた。それをバカにしていると思われていたなんて。

「生意気に好きな人ができたとかいうから見たらしょぼいのなんの。あんなの簡単に落とせた。告られたって言ったらショック受けててさ。それも面白かったわ! なのに懲りずにまた紹介してきて、バカだよねえ?」
 彼女の楽しみのために好きな人を奪われていたなんて。耀理はただただ呆然とする。

「似合ってない髪型とか服を勧めても喜んでさあ。真面目で融通が利かなくて、言ったことを言葉通りに受け取って、ほんっとバカ!」
 嘲笑に、耀理は崩れ落ちそうになる自分をかろうじて支える。世界の土台が叩き壊されたかのような衝撃に、頭がガンガンと痛む。

「久しぶりに恋人ができたって言うから見てみたら、見た目は普通だけど一流出版社の社員って、あんたなんかにはもったいないじゃない。だから私がもらってあげたの。あんたの身分で彼とつりあうわけないじゃない。そもそも私とも身分が合わないのよ、底辺地味女!」
「もういい……」
 もうなにも聞きたくない。なのに紀香は続ける。
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