ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「別れるなら早い方がいいって、彼に言ってあげたの。まだ二十代のうちに解放してあげるのが優しさよ」
 あと一週間で三十歳になる。誕生日にひとりで過ごす寂しさを味合わせたかったのだろう。だから誕生日の直前に別れ話をそそのかしたに違いないのだ。

「学校の成績がどれだけよくたって、結局は販売なんて肉体労働して全部無駄よねえ。まあ、私と違ってオフィスワークっていう本当に頭のいい仕事はできないんでしょうけど!」
 耀理は返事もせずに逃げ出し、こらえきれずに泣きながら走った。恋人と親友を一度に失う日が来るなんて、この日まで思ってもみなかったから。

***

「そういうわけで、あの人は元親友とくっついた元カレなの」
 話し終えた耀理は氷の溶けたサワーを口に含む。味がぼやけていて、美味しくない。

 届いた料理は話しながらも史弥と一緒につついていて、お腹はそこそこくちている。
 ふと見ると彼はうつむいていて、テーブルに置いた握りこぶしが震えている。

「そいつら、許せない」
「でも、私にも悪いところがあったんじゃないかな」
「あなたはいい人すぎる!」
 どん! とテーブルを叩くから、耀理はびくっと身を引いた。

「それから! あなたの誕生日はいつ!?」
「昨日だけど……」
「昨日!?」
 叫んで立ち上がるから、耀理はまたのけ反った。
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