ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
4 にじみ出る腹黒さ
翌日、耀理はげんなりと出勤した。
史弥は昨日一日だけの体験入店だったらいいのに、と思ったのだが、期待は打ち砕かれた。
売り場に着くと、もう史弥が来ている。
スーツの上着を脱いで白シャツにネクタイ、そこにエプロンをつけている。背が高いせいかびしっと決まっていて、まるでやり手の店員だ。白い袖を腕まくりしていて、妙に色気が漂っている。
着ている服はひとめで上質とわかる。艶感や質感が、慎一や店長が着ているスーツとはまるで違うからだ。説明ができなくても、上質な物は上質なのだとまざまざと見せつけられている気分だ。
耀理はつい自分の服を見た。Tシャツにデニムという軽装。動きやすさを重視しているが、自分も白シャツにしたほうがピシッと感が出ていいだろうか。
「おはようございます、耀理」
にこっと笑う彼に耀理は目を細めた。
「ちゃんと苗字で呼んでください」
「俺たち夫婦なのに。昨日、結婚を認めてくれたよな? プロポーズを喜んでくれたじゃん」
昨日の帰り際、「彼からプロポーズされた」と慎一に言って腕を組んだから、勘違いされたようだ。
「喜んではいないし、事実をあいつに言っただけ」
「俺のこと利用して捨てるつもりか!?」
「人聞きの悪いこと言わないで。とにかく、プライベートな話は仕事中はしないでください」
「おはようございまーす! あ、耀理ちゃん」
出勤してきた美帆が自分のエプロンの紐を結び直しながら耀理に声をかけられる。
「昨日見たよ、元カレって解英社の営業だったんだね」
「え!?」
耀理は顔をひきつらせた。ぎらつく史弥の視線が突き刺さっていたたまれない。