ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「いつ付き合うの?」
「つきあいません」
 即答に、美帆は首をかしげる。

「あんなに熱心に口説いてるのに」
「からかってるんですよ。昨日もひどくて」
「なになに?」
 美帆が好奇心に目を輝かせるから、耀理はげんなりする。

「流れで一昨日が誕生日だったって言ったらプレゼント買う、って騒ぎだして」
「それでそれで? おっきなダイヤの指輪買ってもらった?」

「そんなわけないですよ。私のリクエストで遅くまでやってる書店に行ったんです」
「ほんっとに本が好きだよねえ」
 半ばあきれて美帆が言う。

「どの本にしようか迷ってたら、『めんどくさい、この棚ごと買おう』って言い出して」
「なにそれ、どこの富豪! 普通に聞いたらのろけだよ」
「私が慌てるのを見て楽しんでるだけですよ」
 耀理の否定に、美帆は腕を組んで訳知り顔で言う。

「いーや、愛だよ、愛。あとはオスアピール。俺はオスとして有能でしょっていう。耀理ちゃんが好きな本の男ってそんな感じでしょ? 理想の男じゃない」
「フィクションだからいいのであって、現実でやられると引きます」

「いいじゃん、玉の輿」
「身分違いの恋はつらくなるだけですよ。私みたいな庶民は大作家様とは釣り合いません」
 言いながら、身分違いだと責める紀香の顔が浮かんでなおさら気分はどんよりした。

「そうかなあ」
「そうです」
 お客様がレジに並んだので、会話はそこで途切れた。
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