ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
 昨夜の彼の暴走は買い物に留まらなかった。
 耀理が選んだ小説を彼も買って「おそろいだね」と言うし、「いっそ書店を建ててプレゼントしようかな」と言い出すし、恐ろしい。
 本を買ってもらって書店を出たあと、彼はふいに我に返って耀理の両肩をがしっと掴んで固定した。

「待てよ、元カレがいるってことは彼氏がいたってことか!?」
 なにを今さら、と思っていると、ただでさえ鋭い目が夜目にも明らかにつりあがる。

「なおさら許せない。あいつ、訴えてやろうか」
 どこまで本気なのか、耀理にはつかめない。ここまで感情をあからさまにされると逆に現実感がない。
 自分はずっとモテなかった。男性は紀香のようなかわいい女性が好きで、のっぺりした顔でしゃれっけのない、本好きなんていう陰キャは好きにはならないはずだ。

「まさかあいつと体の関係も!?」
「セクハラ!」
「否定しないってことは、あったってことか」
 狼がうなり声を上げる様に似ていて、耀理は怖気付いた。

「記憶から消してやりたい。あいつ、抹殺してやる」
「抹殺って」
「八つ裂きにしても足りない、どうにか完全犯罪できないかな」
 真顔で言う彼は声も真剣で、耀理は焦る。ただでさえ彼は作家なのだから、そういうことも人より考えつきそうだ。

「やめて、なんにもないから。キスすらしてないから!」
 慌てて止めると、彼は疑いのまなざしを耀理に向けた。
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