ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「仕事中です。私語は謹んでください」
「だったら連絡先……」
「嫌です」
「耀理ちゃん、きびしっ!」
 美帆の声で、耀理のこめかみがぴきっとひきつった。が、美帆にそれを構う様子はない。

「あとで話ができるように時間作ってあげるね」
「ありがとうございます!」
「もうすぐオープンですよ」
 耀理は顔をしかめてふたりに言う。

「はい!」
「照れちゃってえ」
 素直に返事をする史弥と、くすくす笑う美帆。
 敵はひとりじゃなかった、と耀理は顔をしかめた。
 ウェディングソングをくちずさむ美帆に、四面楚歌、と言葉がよぎった。



 一足先に休憩に入った耀理は、社員食堂でカレーを食べていた。
「ここ、いいですか、いいですね。ありがとうございます」
 問い掛けに自分で返事をして隣に座ったのは史弥だ。

 耀理は眉間にしわを寄せる。あとで話ができるように時間を作ってあげる、と美帆が言っていたのはこのことだったのだ。休憩時間をかぶせ、彼を社員食堂に送り込めば耀理は逃げ場をなくす。
「俺もカレーにしたんです。おそろいです。あ、ここでは敬語なしでいいよな」

 デートの日付も勝手に決められたし、こうなったらさっさとデートを終わらせたほうがいいかもしれない。だが、そうして彼に外堀を埋められたら逃げ場がなおさらなくなる。ただでさえ職場は彼との交際に歓迎ムードだ。
 とりあえず口調だけでも距離を持たせなくては。
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