ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
6 元親友
うっすらと笑みを浮かべて歩いてきた紀香は、耀理の前に立つとにっこりと笑った。
明るい茶色の髪に、目を大きく見せるコンタクトを入れた瞳は黒い。女性ファッション誌を切り取ったような服装は男性受けが抜群だろう。
「お疲れ様」
かわいい声に神経毒が含まれていたかのように、耀理の体に痺れが広がる。
「なにしに来たの」
「本を買いに来ただけよ。結婚情報誌ってどこ?」
なんども来たことがあるからわかるだろうに、うすら笑いで尋ねる彼女が腹立たしい。
彼女を連れて雑誌のコーナーに行き、手を伸ばして棚を示す。
「こちらです」
案内を終えて帰ろうとした耀理の腕を、紀香がつかむ。
「耀理、結婚したんだって? どんな男?」
「結婚はしてません」
「だって慎一がそう言ってたもの。やけで結婚できるレベルってどんな底辺男なの」
くすくすと笑う紀香に、耀理は目を雑誌に向ける。ウェディングドレスを着て幸せそうな笑顔のモデルが、紀香にだぶって見えた。
「結婚式もしないなんてかわいそう。私はもちろん、盛大に式を挙げるわ。祝辞は『親友』に任せるからあなたの出番なんてないわよ」
耀理は奥歯を噛み締めて耐えた。親友だと言ってくれた彼女をまんまと信じていた過去の自分を殴りたい。
「お客様、離していただけますか」
「いいじゃない、ほかに客はいないんだから」
悪意を隠さない笑顔に背筋が凍った。人は、これほどまでに邪気を放てるのだと。