ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない



 休憩時間になると、耀理はデパートの社員食堂で唐揚げ定食を食べながらスマホで検索した。
 彼を「書けなくなった作家」扱いしていたのは解英社の週刊誌で、苦々しい気持ちが湧いてくる。
 彼は慎一が嫌いだからと解英社との仕事を断っていた。これはあの出版社の報復だろうか。

 史弥は今、どうしているだろう。
 連絡したくとも連絡できない。連絡先を知らないのだから。
 いや、一言投稿サイトで彼にDMを送ればいいのでは。
 だけど、こんな報道が出たあとに、どんな内容を送ればいいのかわからない。
 こっそり彼の様子を見られないだろうか。

 そう思って、はっとした。
 まだ確認していなかったが、彼が自室に設置したペットカメラで様子を見られるはず。

 すぐさまDMにアクセスしてアプリをダウンロードしたものの、いざ見ようと思うとためらいが出て指が止まった。
 スマホの画面には四桁の数字を入れるパスコード入力画面が出ている。パスコードも送られているから、それを入力しさえすれば、彼の部屋を見られる。
 が、果たしてそれをしていいものかどうか。人としての一線を超えないだろうか。

 ぐるぐる迷ったのち、心配が勝ってパスコードを入力した。
 エンターを押すと、ぱっと画面が切り替わって斜めの画角で書斎が映る。
 と、そこにはパソコンに向かってすごい勢いで手を動かす彼がいた。
 原稿やってるんだ、とほっとした直後、彼がペットカメラに顔を向け、にこっと笑って手を振った。

「え!?」
 耀理は驚き過ぎてスマホを落とした。がつん、と音が響いて、慌ててスマホを拾う。
 彼は既に、なにごともなかったかのようにパソコンに向かっている。
「向こうから見えてる……わけないよね?」
 耀理は目を丸くしてスマホを見つめるが、またしばらくすると彼が手を振るのが見えた。
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