ヤンデレ腹黒な仮面作家は激重な執着溺愛を隠さない
「黄昏があなたを隠そうとも、暁明(ぎょうめい)が私の目をくらまそうとも、必ずや見つけ出すと誓っておりました」

 耀理はピンときた。これは『天空監獄の姫君は月光騎士団長の独占愛にさらわれる』の第一巻のヒーローのセリフだ。ヒーローの手を借りて天の国から逃げたヒロインが罠にはまり、再び天空の檻に隠されてしまったのをヒーローが助け出すクライマックス。
 ファンとしては、あの作品のセリフで返したくて血がたぎる。

「あなたなら、必ずやそうしてくれると信じておりました」
 ヒロインのセリフで答えると、彼は仮面越しの目を輝かせ、続ける。

「今こそ永遠(とわ)の愛をあなたに。満天の星にかけ誓約しましょう」
 作中の国では『満天の星にかけて』誓約するのは、神に誓うのと同義であり、つまりこれはプロポーズの言葉なのだ。作中では流星が降り注ぐなか、ヒーローが言う。彼女のために庶民から騎士団長にまで上り詰めた彼の万感の思いが詰まったセリフだ。

「ならば私は月に誓いましょう。欠けてもまた必ず満ちる月のように」
 月と星はともに夜を照らす。だから月になぞらえて答えるのが作中の国の流儀なのだ。断るときは月に誓わず「満ちてもまた欠ける月のように」と逆転するから、耀理の回答は結婚の申し込みを受諾したことになる。

「では、婚姻成立ですね!」
 男性が立ち上がり、仮面をはぎとる。
「え!?」
 シーンの再現だと思っていた耀理は、彼の素顔を見てさらに動揺した。この鋭い目は忘れようとも忘れられない。

「三年前の!」
「覚えていてくれたんだ!?」
 嬉しそうな声に、思わずあとずさりする。

 暴言を吐かれて怖かった。目つきが鋭いのは今も変わらず、圧のある視線に恐怖で体が動かない。
 彼はさっと歩み寄って耀理の腰を抱き、その耳に口を寄せる。
「運命の再会だ。絶対に逃がさない」
「いやあああ!」
 耀理は悲鳴を上げてのけ反った。
< 7 / 121 >

この作品をシェア

pagetop